『VRビジネス成功の法則』メモ①
現実に混ざる仮想
技術者たちは視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感を支配し、現実世界との境目がない、あるいは現実世界の区別がつかない、実質的に現実同じ空間を目指している。
現実世界と仮想世界との境目が消えて現実に仮想が混ざり合ったとき、どうなるか。
「人間は何が嘘で、何が真実かに興味をなくすのではないか」藤井直敬
現実は私たちを裏切らないと信じているが、いま見ているものが現実か仮想か疑い始めるとすべてが怪しく感じられ認知コストが高くなりすぎる。すると、人間は確認するのをやめて生きるようになるのではないか。
MR(Mixed Reality)
VRもARも目指す頂きはMRにあり、同じ山を別々のルートから登っているにすぎない。
ARは現実世界に何かを追加するイメージが強いが、引き算も可能。例えばテーブル上にあるコーヒーカップがカメラ越しにみるとなくなっているなど。
MRが実現すると、現実と仮想の区別はつかなくなる。いま見ている世界のどの部分が現実で、どの部分がCGなのかわからなくなってしまう。
視界に見たいものだけを表示し、見たくないものは削除できる。
VRのように完全な仮想空間に入り込めるし、CGの表示を消せば現実世界をありのままに見つめられる。現実70%、仮想30%といった設定変更もできる
P.31
自分が見ている世界と他人が見ている世界は同じではなくなる。
└※SNSのディスプレイはすでに人々は違うものを見ている旨を、落合陽一が書いてたな。
p.32
VRは体験の消費。体験者はコンテンツの中にある物語をくみ取って、自分で物語をつくろうとする。そういう点ではVRに没入感は関係ない。映画だって没入感はゼロだが、物語を消費できる。
p.34
└まさかの没入感を重視していない発言。
→没入感という言葉自体が仮想空間を前提にしている。
いまここにある現実に没入感があるかないか関係ない。
仮想と現実を区別しなくたったとき、人間は物の感じ方を大きく変えていく。
現実にはそこにないものが本当にあるとしか思えない未来になると、僕らは物の感じ方を大きく変えるはず。
p.37
現実空間にデジタルな別のレイヤーを差し込むのが本来のVRの使い方。
└なぜ?不合理な人間のふるまいを知りたいから?
見たくない人を消してしまうことができる世の中で人がどのようにふるまうかに興味があるかと。
今、研究者はHMDではなく、現実世界にどうやって情報を重ねていくかに興味があるとのこと。空間にディスプレーを出してみたり、プロジェクションであらゆるところをスクリーンにしてみたり。
p.36
認知の仕方が変わる。
福岡の人が一瞬でこちらの部屋にやってくる。
アーカイブされたコンテンツをいま起きているように体験できれば、時間に対する考え方が変わる。
時間と空間の制限が解かれてしまう。
VRがどうやって定着するかは分からない。
いま落ちている巨大なお金が出口を見つけて、VRは社会に実装される。
向こう2年で方向性が見えてきて、5年くらいで便利だねと認知され、10年もすれば仕事で当たり前に使っている。そうして社会の仕組みが変わっていく。
時間と空間とが視覚的に制御できるようになったとき、その社会で人はどうふるまうのか。
p.40
【感想】
藤井さんのインタビューを読んでいると、VRの世界が本当に開けてよいのか分からないパンドラの箱のように思える。
しかし、もう後戻りはできないのだ。